藍色備忘録

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生きた建築フェスティバル2022ー船場

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生駒ビルヂング(1930)

平野町一丁目交差点をレペゼンして堂々と立つこの建築。

もう100年近くずっと時計店としてここに居る、その姿から半端ないオーラを感じます。

銀座の交差点の和光本館にも引けを取らないその姿。あちらは白でスラっとした印象ですが、こちらは装飾も満点で重厚な感じがしますよね。

結局茶色のスクラッチタイルが好き。当たり前。かっこいいもんな。

入口足元にはガラスタイルが敷き詰められていますが、これは地下室から見上げると採光口となっています。

こういう仕組みがモダニズム~~~って感じがしてたまんない。

 

ですがこの渋すぎる外観すら前菜にすぎず、本当にヤバいのは内装。

大理石、赤カーペット、ステンドグラスが標準搭載。←ヤバすぎ?

肝心の写真が下手すぎて全然伝わってへんがな。詳しくは今年のイケフェスでご自身の目で確かめてみてください。って逃げとくか。

 

直線的なこちらの表階段と対をなすような裏階段は更に素敵。

一文字に伸びた手すり。ちょっと構造が変態すぎる。

上から見ても下から見ても美しいその造形にやられてしまいました。

本当に良い曲線。

 

ちょっと長く語りすぎたな。。。それくらい好きなビルです。屋上の時計台や、支配人の方のお話などもあり、入るのに行列ができていたのが納得できる内容でした。

 

伏見ビル(1923)

下手くそな例えですが、全体的に曲線を帯びていて、ドレスと言うよりかはワンピースをまとった、カジュアルながら女性的な印象を受ける素敵な建築です。

最初ホテルとして設計されたというのが原因かもしれません。

さっきの生駒ビルヂングより7年竣工が古いのに、装飾は最低限で、巻かれた金属の帯と白い外壁によって軽快な印象を受けます。

これらのビルが竣工した、大阪が日本一の都会として繁栄を謳歌していた時代は、古典的な建築様式とモダンなものがぶつかりあい、せめぎあっていた時代と重なっています。

その建築たちがシンプルで整然とした十字街の中にレイヤーのように複雑に混ざり合うように立ち並んでいます。

 

シンプルな装飾。緩くカーブした入口に誘われるように中に進みます。

戦前の建築はどれも階段が素敵。客がみんな通る導線だからこそのこだわりなんでしょうか。

最近の商業施設でもエスカレーターやエレベーターの使い方が印象的なところ多いですよね。

踊り場の窓に添えられた植物や、無骨さのない優しいインテリア。

この建物全体にあふれた優しさみたいなものに心打たれてしまいました。

 

途中、1階のテナントでオーナーと思われる老婦人と、イケフェス運営の方がにこやかに話されているのを見かけました。このイベントが大きな地元愛を原動力に動いていることを改めて実感した瞬間でした。

隣に立つ新井ビルも同じ頃の竣工。

壁面緑化プロジェクトにより蔦に覆われていますがこちらも立派な生きた建築です。

 

 

田辺三菱製薬本社ビル(2015)

東京で言えば大丸有エリアに性質の近い、大阪の業務中枢地区、船場

保存された景色は、逆に言えば更新されてこなかった停滞の裏返しとも言えるかも知れません。(もちろん素敵な現代建築もたくさんあります)

そんな中で目立っているのがガラスと木材の多用がいかにも今っぽいこの建築。

広い公開空地とオシャレなベンチがこちらも優しい雰囲気を醸し出してくれています。

周辺は古くからくすりの街と言われており、今でも製薬会社の本社が立ち並んでいます。

 

船場地区には他にも数えきれないほど素敵な建築が立ち並んでいますが、今回は公開に参加していなかったり、抽選に外れてしまったりとなかなか覗けず残念でした。

 

続いては、堂島地区を訪問します。