藍色備忘録

藍色備忘録

好きなことを好きなだけ書きなぐるだけ

「業務放送、第七前出し、中継、トークバック」

題名の意味、わかりますでしょうか?

f:id:Aoto_tx1133:20210903005702j:plain

世界最大の乗降客数を誇る新宿駅では、日々膨大な量の業務と乗客を捌くための「業務放送」が交わされています。

 

また、その多くが客側に聞こえる、マイクを通して行われているのが面白いところです。

 

一体、彼らはその業務放送で何を伝えようとしているのか?

今回はそれを頑張って聞いてみようというものです。

 

 

 

 

第七前出し、中継、トークバック

youtu.be

こちらの動画で流れているのが聞こえます。

(ちなみにこの動画にはショッキングなシーンは含まれていないのでご安心ください)

 

まず、第七とはなんでしょうか。

これはおそらく、第七ホームのことを言っているのだと思います。

 

新宿駅では、駅長室に近い埼京線のホームから順に、(のりばとは別に)ホームに番号が与えられています。

第七ホームとは、のりばで言う、15・16番線を擁するホームのことです。

 

では、前出し・中継とはなんでしょうか。

 

新宿駅のホームは、弓なり状に湾曲していて、車掌の位置から先頭車付近の様子を直接見ることが出来なくなっています。

このためホーム中央付近と前寄りに常に2人の駅係員が立ち、乗降などを確認して扉を閉めてよいという合図を出しています。

youtu.be

  ↑前寄りにいる係員が合図を出したのを確認して、「(前)了解」と喚呼した後に、

   中ほどの係員が右上の合図機を点滅させて、車掌に合図を送っています。

 

 

前出し、中継とは、この合図を出す係員のことではないかと思います。

 

では、トークバックとはなんでしょうか。

f:id:Aoto_tx1133:20210907151647j:plain

めちゃくちゃわかりにくい写真で申し訳ないんですが、右側についてる箱とスピーカーの組み合わせがトークバックというやつです。

新宿に限らず、JRなら駅のホーム、留置線、駅間の線路脇といったあらゆるところで見ることができます。最寄り駅にも絶対あります。

 

要は事務室との連絡手段ですね。

 

では、以上のことを踏まえて読み解くと...

「第七ホームの、前より・ホーム中ほどの合図を出す係員は、トークバックにかかってください」

 

という意味になります。多分。

この業務放送は、恐らく駅事務室からのものだと思います。

人身事故で山手・中央総武線も止められている状況で、何か情報が入ってきたのでしょう。

それを伝えるために係員を呼び出している、という状況だと思います。

 

トークバックという言葉は、下のシーンでも出てきます。

youtu.be

「業務放送、七中継出れましたら、トークバック。」

七中継→第七ホームの中継合図者という意味だと思うのですが、このホームは、13・14番線の第六ホームのはずです。

 

この点に関しては、調べてみましたが、よくわかりませんでした!

 

到着のトオヨンジーはココノツ号車とトオイチ号車でご案内

youtu.be

これは何となくわかる方も多いのではないでしょうか。

 

しっかりとした文章に直すと、

「山手線内回り14G列車の11号車と9号車で(お客様)ご案内が有ります」

 

という意味になります。

 

お客様案内というのは車いすに乗っている人であったり、白杖を持っている人を駅員がサポートする、という意味ですが、なぜ14をトオヨンと読み替えたりするのでしょうか?

 

簡単です、聞き間違えの防止のためです。

 

たとえば、ジュウヨンジーと言うと、キュウヨンジー(94G)と聞こえてしまう恐れが有ります。

 

キュウ号車をココノツ号車と読み替えているのも、同じ理由です。

 

今でこそマイクやスピーカーの性能が上がったので、聞き間違いも少なくなったと思いますが、きっと大昔からの伝統なんでしょうね。

 

 

他にも、こんな数字の言い方もあります。

 

エンパツ、サンイチコロコロ

youtu.be

コロコロ。です。ふざけてません。

 

これも数字の言いかえなのです。

 

エンパツとは、延発整理、つまり遅れている後ろの列車との間を少し詰めるために、発車を意図的に遅らせることです。

 

コロコロは、どう読み替えるかというと、00という意味になります。

 

つまり、

31分00秒に発車させる、ということにということです。

 

 

ニハサ

世界最大の駅だけあって、ラッシュ時の混雑は激しく、駆け込み乗車も多発します。

そういった状況でも安全を確保できるよう、前述の通り常に2人の駅員が立ち、看視しているわけですが...

youtu.be

このシーンでは、手前から2両目あたりで閉まりかけたドアに無理やり乗車する客がいるのが見えます。

 

その後、レピーターが消え、列車が止まります。

f:id:Aoto_tx1133:20210912000050j:plain

↑レピーター

その後、

「業務放送、ニハサです。」

「業務放送、トオゴ番、代々木方、レッテイ扱い」

という放送が流れます。

 

ニハサとは、荷挟み、つまり客の荷物を挟んだ、ということになります。

また、レッテイとは列車停止装置、つまりホームの非常ボタンになります。

 

つまり、

ホーム看視を行っている係員が、荷物挟みを発見して、非常ボタンを扱った

ということですね。

 

それにしても、車掌位置から1つ先の車両すら見通せない状況下でドア扱いをしないといけないとは、山手線の車掌も大変ですね・・・

 

 

ちなみにこの後の流れも興味深いので見ていきましょう。

 

駅員(代々木側)「業務放送、ニハサです。」

駅員(事務室)「業務放送、トオゴ番、代々木方で列停扱い。」(事務室での警報音)

 

駅員(代)「業務放送、トオ号車ニハサです。通告願います。」

 

 (16番線中央緩行線発車ベル)

 

駅員(新大久保側)「ぇー、15番線、トオ号車Dコック扱う旨、運転士に通告済み。」

駅員(代)「了解。コック扱います。」

 

駅員(代)「対応は終了です。列停復位いたします。」

 

駅員(代)「(不明)通告願います。」

駅員(新)「運転士に安全確認オーライ通告、済み。」

 

 (車掌、反対線路確認、運転士と電話でやり取り。非常ブレーキ緩解)

 

駅員(代)「安全通告オーライ承知です。」

駅員(代)「山手線はこのまま扉が開かず発車をいたします。」

駅員(代)「先ほどお客様の荷物がドアに挟まったため、対応を行いました。このままの発車です。」

 

 (当該列車発車)

ここまでで、およそ3分です。

ホーム係員2人、事務室の駅員、車掌、運転士のとの連携が素晴らしいです。

そもそも駅員が車両のコックを扱ってはいけないという会社もあるので、普通は10分くらいは遅れるんじゃないかと思います。凄いですよね。

 

前オーライ、オーライ

列車を発車させるには、元来出発合図が必要です。

もともと、超~最初期は、ホームにいる駅長が出発合図を出し、それを確認して列車を出していたのですが、今ではそれは、車掌によるブザー合図に取って代わられています。

ドアが閉まった後に、運転台で流れる「ブー」という音がそれですね。

 

一方JR東日本は、そのブザーすらも省略し、運転台の知らせ灯が点灯したのを確認すれば、それを出発合図とし発車することができます。

f:id:Aoto_tx1133:20210912153929j:plain

↑点灯時の写真なかった。速度計の左にあるランプが知らせ灯

この知らせ灯は、ドアがすべて閉まったと感知すると点くのですが、ビニール傘や中身の少ない鞄とかだと、挟んでいても「閉まっている」と判断してしまいます。

前項のシーンでは、その結果発車してしまい、取り除く作業に移っているわけですね~。

 

前置き長すぎ永杉君。

 

新宿駅では扉がすべて閉まったのを確認して、「オーライ」と放送で合図を送っています。

知らせ灯発車なので、駅員のやることは、戸閉合図を出すだけ、車掌は扉を閉めるだけ、なんですが、、、、

駅員と車掌が相互に扉が閉まった後に、荷挟みなどが無いことを確認しあえる合図を出しているのが、いかにも超巨大駅、新宿といった感じで面白いです。

youtu.be

このシーンでは閉扉合図が出てドアが閉まりかけたとき、赤い鞄が挟まっているのが見えます。(車掌が気付いてすぐ再開閉スイッチを扱っている。)

その後、新大久保側の駅員の見える範囲ではすべてドアが閉まっていたので、「前オーライ」と放送しています。

その後、赤い鞄が車内に引き込まれて、車側灯が消えたのを確認し、「オーライ」と放送しています。

 

「前オーライ」と放送があったときに少しブレーキを緩める音が聞こえ、「オーライ」という放送の際に完全に緩めて発車していくのが聞こえます。

youtu.be

また、上の乗務員のように、「オーライ」が聞こえてから時刻の確認をしている人もいます。

発車に絶対必要なものではない、ある意味非公式な合図なのに、こうやって活用している乗務員もいるというのがなんか興味深いです。

 

なにより、オーライって響きが渋くてかっこいいですよね。

 

 

ニイサンニイニイ最大ミッツです

youtu.be

さて、荷物挟みの対応が終了したホームに、こんな放送が流れました。

これも面白い言い回しだなと思います。

 

オアトB線→この後の中央総武線、中野方面の電車

遅れニイサンニイニイ→接近順に2分、3分、2分、2分の遅れ

最大ミッツ→最も遅れている電車で3分の遅れ

 

という意味になります。

 

通告

先ほどの荷挟みのシーンで、通告、通告という言葉が何度も使われていました。

これは言い換えれば、連絡という意味になります。youtu.be

華金で激混みの新宿駅

ここでも、通告という言葉が使われています。

 

百貨店の呼び出し風に言うと、

外回りの車掌様、お伝えしたいことが有ります。発車ベルは押さずにお待ちください。

そんな感じですね。

 

 

ここで想定される通告の内容とは、例えば臨時で駅の到着番線を変更するとか、行き先を延長するとか、そういうことです。

 

終電の時間帯になると、客の乗り遅れが無いよう、係員間での連携が見られます。

最前乗車中

youtu.be

「最前乗車終了です」

  「北通路乗車中です」

 

新宿駅には神田側の西口・東口を抱える北通路、真ん中に中央西口・中央東口を抱える中央通路、南口などを抱える南通路の3つのコンコースがあります。

 

普通に考えれば、最前とは、先頭車両付近にある北通路を指すと思うのですが、北通路乗車中です、と別の係員が言っていることから、中央線の起点、神田側を「最前」という扱いにし、の南通路からの客の動きを見てるのかな?と思いました。

そして中央通路は、車掌に合図を出す係員が確認してるっぽいですね。

 

しかし、最後の列車を出すころまで、これだけの客がいるというのは本当に大変なことです。

 

 

いかがだったでしょうか?

 

あくまで、内部事情を知っている社員とかではない、独自研究なので、間違ってるとこも絶対多々あります。許してください。

 

 

それにしてもこれだけの業務放送が、日々交わされているということも、ある意味この駅に巨大さを表してるのではないかと思いました。

 

今後も面白いのが有ったらドンドン集めていきたいと思います。

 

 

 

 

 

おわり